海を作品モチーフにすること

海を作品モチーフにすること

2013/03/13 予報的中の朝から雨。小雨といった具合。 午後から沙美海岸に車を走らせる。最近はドライブが一番楽しい。まだ危うさを感じるものの雨天での運転も問題なくなった。 海岸に到着すると予想通り人は皆無。風もほぼなく海は鏡面。狙った景色を見ることができた。 水平線は雨とガスで溶け込み、やや明るい空を波のない瀬戸内海が写して低いハレーションを起こした眺望。 波の音だけがただ静かに聞こえてくるわけではなく、霧で確認できない水平線の向こうから絶えず大型タンカーの低いエンジン音がこの景色の背景を支配している。 眼前にはいくら目を見開いても細めても変わらない最高のグレイッシュナな海。時折聞こえてくる想像をはるかに超える巨大な動物のブボォーと叫ぶ声。 傘にあたるパラパラという雨音がこちら側とあちら側との距離を明確にするのでやっと恐怖心が薄らぎ思考できる。 眼前に広がる海を作品にすることも可能かもしれないと思った。ただしその場合は書き写すのではなく新たに何かを付け加える必要がありそうだ。 物語性(その作品に見る側が入り込めるキッカケのようなもの)や私の芸術の象徴的な何かを海の中に混ぜなければいけない。 波の変化の様子を作品にする場合は、すぐにでも着手できそうだが海を作品にするのは今はできそうにない。 の記事は、海岸に行った当日に書いたものだけれど本日は4月3日。 読み返すと、ろくなことを書いてない駄文だった。読みたい人はドラッグで。
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海を作品にすることは難しい仕事か?
北海道の波の大きな海を前にしてはそう思わなかったが、瀬戸内海の穏やかな海を前にした時は杉本博司をすぐに思い出した。 杉本博司の代表作とされている海の写真が私が知る上で最高であり、アレ以上のもの作れるのか? う~む、金をやるから作ってみろと言われたらできそうだ! 杉本氏のその作品は巨大な写真で、作品の前に立つと実際に海を前にしているのと変わらない感覚に落ちる。 最近NHKだったかな?杉本博司が滝を撮るという内容の番組がやっていて楽しんでみていた。那智の滝だったか。。。 完成した作品は。。滝というモチーフに肩を貸りすぎたのか、駄作だった。良くない。ダメ。
撮影スケジュールが短かったのか?もう全盛期がとっくに過ぎ去ったのか? 彼を一躍有名にした博物館の剥製の動物シリーズ。あれは良い! 杉本博司はやはり力のある写真家でアーティストだと思う。 あの動物の写真を評価した人たちも最高の目をもっている、そんな人間がいると思うと明日からもやっていける。
沙美海岸で撮った写真。 瀬戸内海は皆が言うほど美しくもないし、漁場としてもショボくれた魚しかいない貧しい海だ。 大半はコンクリートで整備されていて釣り糸を垂らしても小さな実入りの少ない魚しか釣れない。 大人になっても小さなイイダコは姿が良くて可愛らしく、頭の大きさに対しての足の様子などは格好が良い。 タイの類がいるじゃないかって?タイくらいしかいないつまらない海なんですよ。
文句を言うのも当然で 海というのは、その人が生まれた土地の海がその人にとって一番愛すべき海なのだろう。 だから私の好きな海はあなたは好きにはなれないだろう。だけどあなたを通せばその海も好きになれるかもしれない。 肝心なのは自分の愛する海を持っていることなんでしょうね。 もし瀬戸内海を愛する人がこの記事を見ていた時のために、 私の好きな海とそんな海が好きな私を愚弄する時に役立つように私の愛する海も書いておく。 私が愛する海は、冷たくて到底泳ぐなんてこともできなく、簡単に波が人をさらっていき、特に波の穏やかな日の波間を見ると深い緑の海の色に魅入られて不安を感じる。塩っ辛い、身投げが絵になる海。 海には幽霊が付き物だけど、幽霊も足をすくわれる力強い海です。  幽霊は足がないから救われなくていつまでも悲しくさまようのですな。 この日の沙美海岸は美しく好きだった。 とにかくココを管理している人たちには敬意を払わなくてはいけない。 美しい砂浜だった。
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写真は難しい。 撮るのは簡単だ。考えると難しいの。 構図を意識できていたり、テクニックで上手く撮る人間の芸術的観点の写真は最も見る側をつまらない気持ちにさせる。 まったくもって退屈な作品だと言える。プロとしての写真家も同様、たいした物を撮れていない。 芸術としての写真を製作するときは被写体に対して明確で相当な作意をもって撮らない限り上手くはいかないんだろう。 つまり、芸術写真は写すもの(または撮るもの)ではなくて、創るものなのだ。
報道写真は別。作品ではなく記録として撮ってある物の方がよほど作品になりうる。 または、全くの素人のとりとめのない写真の方がよほど作品として楽しませてくれる。 庭師の作る庭よりも、田んぼの端の方がよほど美しい。