服部篤浩展 札幌市民ギャラリーバージョン

服部篤浩展 札幌市民ギャラリーバージョン

 

前回の展示は東京で行われたのでヘルプに行ったけど、今回は札幌での展示ということでパスさせてもらった。 一連の展示には私もチョロリと噛んでいるので、イッチョ噛みついでにここに蛇足を書いておく。

札幌バージョンの展示はもちろんその内容もバージョンアップしている。 前回の東京羽村での展示の内容をより堅牢なものにしたのだ。内容を堅牢にするということはお硬くなるということではない。 むしろその真逆で観る者に作家の芸術でより楽しんでもらえるよう勉めるということだ。内容を文化に落としこむような媚びた方法をとれば早いが それをやると芸術ではなくなるから、作品を理解してもらうという事は難しいし面白い。だが、服部氏の場合この作業にも彼の作品の血になる要素が含まれている。

服部氏の作品の研究テーマの一つ【心までの距離】。テーマでありこの着目点が展覧会それ自体が作家の芸術性に大きな影響を与えているのだ。 具体的な話、服部氏は自身の作品を見ている人を観察する。自らの作品が観る者の心にどう反映するのかを。落とし込まれるのかを。拒絶されるのかを。もしくは全く無視されるのかを。無論理解してもらえるのが本望だろうが、どんなリアクションを取られようがそこには必ず【心までの距離】があるからだという。

つまり服部氏は、自身の作品が与える印象もしくは影響が観る者の感性を入り口とした心まで、もしくはその手前で墜落した地点までを観察し計測しているのだ。 彼はそこからなんらかの物を見つけ出し作品を発展させ構築させる。

今後も回数を重ねていくであろう彼の展示は、【作品を観る者】を観察するという原寸大の芸術をもとに、一環として作品に大きく反映されながら展示に昇華されていくだろう。